○春日井市文化振興基本条例
平成14年7月4日
条例第27号
21世紀を迎え、時代は大きな転換期にある。経済が豊かになり規範やきずなが弱まるなか、ものに幸せを求めてきた私たちは、今、心の大切さを実感する。心の豊かさを求め、自分らしい人生や人とのつながりをつくっていく上でも、また、社会が活力を持ち発展し続ける上でも、多様性と創造性を大切にする社会の構築が求められる。そこで重要な役割を担うのが文化である。
私たちのまち春日井では、はるか昔から豊かな文化が育まれてきた。東部丘陵の恵まれた自然や二子山古墳、密蔵院、小野道風誕生伝説などの優れた文化資産に加え、私たちの日々の暮らしのなかにも素晴らしい文化や伝統が息づいている。
文化は、これら今日までの遺産を礎にして、近隣市町や外国などの様々な文化を私たち自身が取り入れ、融合させるなかで発展していくものである。豊かな文化を受け継ぎ、創造し、享受し、引き継いでいくことは、私たちの権利であるとともに、先人や子孫に対する責務でもある。そして私たちは、文化を理解し楽しむための知識を深め能力を高めることで、頂きが高く裾野の広い文化を築くことができるはずである。
私たちは、個性的で魅力あふれる「文化のまち春日井」を自らの手で創造するため、ここに、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、文化の振興について、基本理念を定め、並びに市民、企業等、公益財団法人かすがい市民文化財団(以下「財団」という。)及び市の責務を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化の振興に関する施策を総合的に推進し、もって心豊かな市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(平23条例25・一部改正)
(1) 企業等 事業所、地縁による団体、公益法人その他の民間団体をいう。
(2) 市民メセナ活動 市民及び企業等が文化活動を擁護又は支援する活動をいう。
(3) 芸術家等 文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者その他の文化芸術を担う者をいう。
(基本理念)
第3条 文化の振興に当たっては、市民一人ひとりが文化の担い手であることを認識するとともに、その自主性及び創造性が十分に尊重されなければならない。
2 文化の振興に当たっては、市民、企業等、財団及び市が協働し、文化のまち春日井の創造に努めなければならない。
3 文化の振興に当たっては、文化を創造し、享受することが人の生まれながらの権利であることを考慮し、すべての市民が文化活動を行うことができるような環境の整備が図られなければならない。
4 文化の振興に当たっては、市民一人ひとりが自分に合った文化と出会い、創造することができるよう、多彩な分野及び多様な水準にわたる文化の保護並びに発展が図られなければならない。
5 文化の振興に当たっては、施策の推進に広く市民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、文化の担い手として自主的に文化活動を展開するとともに、その活動を互いに理解し、支援するよう努めるものとする。
(企業等の責務)
第5条 企業等は、地域社会の一員として自主的に文化活動を展開するとともに、市民の活動の支援に努めるものとする。
(財団の責務)
第6条 財団は、優れた芸術文化の鑑賞機会を提供するとともに、市民の文化活動を支援することにより、個性豊かな市民文化の創造及び発展に努めるものとする。
(市の責務)
第7条 市は、第3条に定める基本理念にのっとり、文化の振興に関し、市の特性に応じた施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、現在及び将来の世代にわたって市民が文化を創造し、享受することができるとともに、文化が将来にわたって発展するよう、市民の文化に対する関心及び理解を深めるように努めなければならない。
(基本計画の策定)
第8条 市長は、文化の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、文化の振興に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 市長は、基本計画の策定に当たっては、広く市民の意見を反映するための必要な措置を講ずるものとする。
3 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(文化活動の場の充実)
第9条 市は、市庁舎一帯を市における文化活動の拠点と位置づけ、春日井市文芸館条例(平成11年春日井市条例第16号)に定める文芸館、春日井市図書館条例(昭和45年春日井市条例第28号)に定める春日井市図書館、春日井市民会館条例(昭和40年春日井市条例第21号)に定める市民会館及び市庁舎において、芸術文化を中心とした事業が積極的に展開されるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 市は、市民に身近な文化活動の場の充実を図るため、地域における社会教育施設、学校施設等の利用を促進するための措置その他の必要な施策を講ずるものとする。
(平29条例28・一部改正)
(地域文化財の保存及び活用)
第10条 市は、指定文化財を始め、地域に残る文化財の保存及び継承を図るため、文化財に関する調査、記録その他の必要な施策を講ずるとともに、市民が関心をもって学習し、鑑賞する機会を提供できるよう努めるものとする。
(芸術家等の養成)
第11条 市は、文化活動の核となり、独自の文化を育む上で重要な存在である芸術家等の養成を図るため、芸術家等が育つことができる環境の整備、積極的に活動できる機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(青少年の文化活動の充実)
第12条 市は、次代を担う青少年の豊かな情操を育むため、優れた芸術文化に触れ、及び多様な文化活動を行う機会の提供、学校教育における文化活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
(情報通信技術の活用の推進)
第13条 市は、情報通信技術の活用の推進を図るため、文化活動に関する情報交換の場の提供、歴史、文化財等の情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(市民メセナ活動の推進)
第14条 市民及び企業等は、文化活動を支援する自らの役割を自覚し、積極的に市民メセナ活動を推進するよう努めるものとする。
(市民メセナ活動の支援)
第15条 市は、市民メセナ活動が文化のまち春日井の創造に欠くことのできないものであることを認識し、市民メセナ活動を積極的に支援するため、その仲介となる基金の設置、文化活動に関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(顕彰及び助成)
第16条 市長は、文化活動で顕著な成果を収めた者及び文化の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。
2 市長は、文化の振興に寄与すると認められる者に対して、助成を行うことができる。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成23年条例第25号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成29年条例第28号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。