○春日井市開発事業に係る紛争の予防及び調整に関する条例
平成14年7月4日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は、開発事業に係る事業計画の事前公開並びに紛争のあっせん及び調停について必要な事項を定めることにより、紛争の予防及び調整を図り、もって良好な近隣関係の保持及び住環境の保全に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、都市計画法(昭和43年法律第100号)及び建築基準法(昭和25年法律第201号)の例による。
(1) 大規摸開発行為 都市計画法第7条第1項に規定する市街化調整区域における次に掲げるものの用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう。
ア 開発区域の面積が5ヘクタール以上の主として建築物の建築
イ 開発区域の面積が1ヘクタール以上の主として第2種特定工作物の建設
(2) 中高層建築物の建築 次に掲げる建築物の建築をいう。
ア 地階を除く階数が5以上の建築物
イ 高さが15メートルを超える建築物
(3) 廃棄物処理施設の設置 次に掲げる施設の設置又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)第9条第1項若しくは第15条の2の5第1項の規定による変更をいう。
ア 廃棄物処理法第8条第1項に規定する一般廃棄物処理施設
イ 廃棄物処理法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設
(4) 開発事業 大規摸開発行為、中高層建築物の建築又は廃棄物処理施設の設置をいう。
(5) 事業者 大規模開発行為をしようとする者、中高層建築物の建築主又は廃棄物処理施設の設置をしようとする者をいう。
(6) 関係地域 開発事業に伴い住環境の保全上の支障が生ずるおそれのある地域として規則で定める地域をいう。
(7) 関係住民 次に掲げる者をいう。
ア 関係地域の土地の所有者及び権利者(廃棄物処理施設の設置の場合を除く。)
イ 関係地域の建築物の所有者、権利者及び居住者
ウ 関係地域の地縁による団体(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体をいう。)の代表者
(8) 紛争 開発事業に伴って生ずる住環境に及ぼすおそれのある影響に関する事業者と関係住民との間の争いをいう。
(平15条例35・一部改正)
(市の責務)
第3条 市は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、適正な調整に努めなければならない。
(事業者及び関係住民の責務)
第4条 事業者は、開発事業に際し、周辺の住環境に配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
2 事業者及び関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。
(事業計画書の提出等)
第5条 事業者は、開発事業をしようとするときは、関係法令に基づく許認可の申請等の前に、開発事業の計画(以下「事業計画」という。)を記載した事業計画書に規則で定める書類を添えて市長に提出しなければならない。
2 前項の規定により事業計画書を提出する事業者は、関係住民に事業計画の周知を図るため、規則で定めるところにより、標識を設置しなければならない。
2 市長は、前項の規定により縦覧に供しようとするときは、縦覧の場所その他規則で定める事項を告示しなければならない。
(周知計画書の提出)
第7条 事業計画書を提出した事業者は、関係住民に対する事業計画についての説明会(以下「説明会」という。)の開催に関する事項その他規則で定める事項を記載した周知計画書を市長に提出しなければならない。
(事業計画の説明)
第8条 事業者は、規則で定めるところにより、前条の周知計画書に基づき説明会を開催しなければならない。ただし、書面をもって個別に説明を行う場合には、これを説明会に代えることができる。
2 市長は、前項の説明会又は個別の説明のほか、関係住民への説明が必要であると認めるときは、事業者に対し、追加の説明会を開催し、又は個別に説明を行うことを求めることができる。
3 事業者は、速やかに前2項の規定により行った説明会又は個別の説明の状況を市長に報告しなければならない。
(意見書及び見解書の提出)
第9条 関係住民は、事業計画について、事業者に対し、規則で定めるところにより、意見書を提出することができる。
3 事業者は、意見書の提出を受けたときは、速やかに当該意見書の写しを添えて市長に報告しなければならない。
4 意見書の提出を受けた事業者は、当該意見書の提出を受けた日から起算して15日以内に見解書を作成し、当該意見書を提出した者に通知するとともに、市長に提出しなければならない。
(事業計画の廃止の届出等)
第11条 事業計画書を提出した事業者は、当該事業計画を廃止するときは、速やかにその旨を市長に届け出るとともに、関係住民に周知しなければならない。
(あっせん)
第12条 市長は、事業者及び関係住民(以下「紛争当事者」という。)が自主的な解決の努力を行っても紛争の解決に至らない場合において、紛争当事者の双方から紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。
2 前項に規定する場合のほか、市長は、紛争当事者の一方から紛争の調整の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。
4 市長は、あっせんのため必要があると認めるときは、紛争当事者又は開発事業の設計者、工事監理者若しくは工事施工者(以下「工事施工者等」という。)に出席を求めてその意見を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。
5 市長は、紛争当事者間のあっせんを行い、双方の主張を確かめ、紛争が適正に解決されるよう努めなければならない。
(あっせん前の措置)
第13条 市長は、あっせん前に、紛争当事者に対し、あっせんの内容となる事項の実現を著しく困難にする行為を行わないことその他あっせんのために必要と認める措置をとることを要請することができる。
(あっせんの打切り)
第14条 市長は、当該紛争について、紛争当事者の一方からあっせんの打切りの申出があったとき又はあっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
2 市長は、前項の規定によりあっせんを打ち切ったときは、その旨を紛争当事者に通知するものとする。
3 市長は、第1項の規定によりあっせんを打ち切った場合において、必要があると認めるときは、紛争当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。
(調停)
第15条 市長は、前条第2項の規定により通知した場合において、紛争当事者の双方から調停の申出があったときは、春日井市開発事業紛争調停委員会の調停に付する。
2 前項に規定する場合のほか、市長は、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、春日井市開発事業紛争調停委員会の調停に付することができる。
3 市長は、前条第3項の規定により勧告した場合において、紛争当事者の双方がその勧告を受諾したときは、春日井市開発事業紛争調停委員会の調停に付する。
7 第13条の規定は、調停の場合に準用する。
(調停委員会)
第16条 紛争の調停を行うため、春日井市開発事業紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。
2 調停委員会は、市長から付された紛争の調停を行うほか、市長の諮問に応じ、紛争の予防及び調整に関する重要事項について調査審議する。
3 調停委員会は、委員5人以内をもって組織する。
4 委員は、法律、建築、環境等の分野に関し優れた識見を有する者その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 調停委員会に、紛争の調停又は特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員若干人を置くことができる。
8 臨時委員は、市長が委嘱し、当該紛争の調停又は当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解嘱されるものとする。
9 委員及び臨時委員は、自己に利害関係のある紛争については、その調停に関与することができない。
10 委員及び臨時委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(意見の聴取等)
第17条 調停委員会は、調停のため必要があると認めるときは、紛争当事者又は工事施工者等に出席を求め、意見を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。
(調停案の作成及び勧告)
第18条 調停委員会は、必要があると認めるときは、調停案を作成し、市長に報告するものとする。
2 市長は、前項の規定による報告を受けたときは、紛争当事者に対し、期限を定めて、調停案の受諾を勧告することができる。
(調停案の履行義務)
第19条 前条第2項の規定による勧告が行われた場合において、紛争当事者の双方が当該勧告に係る調停案を受諾したときは、紛争当事者は、これを信義に従い、誠実に履行しなければならない。
(調停の打切り)
第20条 調停委員会は、紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停の経過及び調停委員会の意見を市長に報告するものとする。
2 市長は、前項の規定による報告を受けたときは、調停を打ち切ることができる。
3 第18条第2項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期限までに、紛争当事者の双方又は一方から当該勧告に係る調停案を受諾する旨の申出がないときは、当該調停は、打ち切られたものとみなす。
4 市長は、前2項の規定により調停を打ち切ったときは、その旨を紛争当事者に通知するものとする。
(勧告)
第21条 市長は、次の各号のいずれかの手続を行わず、又は不正若しくは不誠実な方法でこれを行った者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(7) 第11条に規定する届出
(命令)
第22条 市長は、前条の規定による勧告に従わない者に対し、相当の期限を定めて、その勧告に従うことを命ずることができる。
2 市長は、第18条第2項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
3 市長は、前条の規定による命令を受けた者が、正当な理由がなくその命令に従わないときは、その旨を公表することができる。
4 市長は、前3項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表をされるべき者にその理由を通知し、その者が意見を述べる機会を与えなければならない。
(1) 都市計画法第29条第1項第4号に規定する者が行う開発事業
(2) 都市再開発法(昭和44年法律第38号)による市街地再開発事業の施行として行う開発事業
(3) 建築基準法第85条に規定する仮設建築物の建築
(委任)
第25条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則 抄
(施行期日)
1 この条例は、平成14年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例施行の際、現に事業者が開発事業に係る従前の手続に関する定めによる事前協議書(これに類するものを含む。)を提出し、市が受理している開発事業については、なお従前の例による。
附則(平成15年条例第35号)
この条例は、平成15年12月1日から施行する。