○春日井市自然環境の保全を推進する条例
平成16年12月16日
条例第41号
目次
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 自然環境保全地区等(第7条―第13条)
第3章 生態系への配慮(第14条―第18条)
第4章 鉱物掘採等の規制(第19条―第22条)
第5章 市民等との協働(第23条・第24条)
第6章 教育、学習等(第25条―第27条)
第7章 雑則(第28条)
第8章 罰則(第29条―第33条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、自然環境の保全について必要な事項を定めることにより、自然環境の保全に関する施策を総合的に推進し、もって優れた自然環境及び市民が親しむことのできる身近で良好な自然環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「自然環境の保全」とは、森林、河川、池、湿地、里地、里山その他の自然環境を保全し、又はその現状を維持管理することをいう。
(市の責務)
第3条 市は、自然環境の保全に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 市は、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携を図りつつ、協力して自然環境の保全に努めなければならない。
(市民の責務)
第4条 市民は、自然環境の保全が適正になされるよう自ら努めるとともに、市が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、自然環境の保全が適正になされるよう配慮するとともに、市が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(国等への要請)
第6条 市長は、自然環境の保全のために必要があると認めるときは、国及び他の地方公共団体の長に対し、必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
第2章 自然環境保全地区等
(自然環境保全地区の指定)
第7条 市長は、次の各号のいずれかに該当する区域のうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境の保全が特に必要なものを春日井市自然環境保全地区(以下「保全地区」という。)として指定することができる。
(1) 優れた天然林又は樹齢が特に高く、かつ、学術的価値を有する人工林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となって自然環境を形成している土地の区域を含む。)
(2) その区域内に生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している河川、池、湿地等の区域
(3) 都市の区域と原生的自然との中間に位置し、良好な自然環境が形成されている里地又は里山の区域
(4) 植物の自生地、野生動物の生息地(渡来地及び繁殖地を含む。)の区域でその区域における自然環境が前3号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもの
2 次に掲げる区域は、保全地区の区域に含まれないものとする。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域
(2) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第14条第1項の規定により指定された原生自然環境保全地域及び同法第22条第1項の規定により指定された自然環境保全地域
(3) 自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例(昭和48年愛知県条例第3号)第20条第1項の規定により指定された愛知県自然環境保全地域
3 市長は、保全地区の指定をしようとするときは、あらかじめ、春日井市環境基本条例(平成13年春日井市条例第33号)第12条第1項に規定する春日井市環境審議会の意見を聴かなければならない。この場合において、次条第1項に規定する保全計画の案について、併せて、その意見を聴かなければならない。
4 市長は、保全地区の指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公示し、その案を当該公示の日から2週間縦覧に供しなければならない。
6 市長は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき又は当該保全地区の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
7 市長は、保全地区を指定する場合には、その旨及びその区域を公示しなければならない。
8 保全地区の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
(保全計画の決定)
第8条 市長は、保全地区に関する保全計画を決定するものとする。
2 保全計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該地区における自然環境の保全に関する基本的な事項
(2) 当該地区における自然環境の保全のための規制に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、自然環境の保全に関し必要な事項
3 市長は、保全計画を決定したときは、その概要を公示しなければならない。
(保全地区内における行為の届出)
第9条 保全地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、市長に対し、規則で定めるところにより、行為の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他規則で定める事項を届け出なければならない。ただし、森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項若しくは第25条の2第1項若しくは第2項の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第41条の規定により指定された保安施設地区(第19条第1項第4号において「保安林等の区域」という。)内において同法第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係る行為又は同法第10条の2の許可を受けた者が行う当該許可に係る行為については、この限りでない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(3) 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。
(4) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(5) 河川、池、湿地等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
(6) 木竹を伐採すること。
(7) 前各号に掲げるもののほか、保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがある行為で規則で定めるもの
2 市長は、前項の規定による届出があった場合において、当該保全地区における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、届出があった日から起算して30日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出に係る行為を禁止し若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
5 市長は、当該保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
6 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。
(1) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(2) 保全地区に関する保全事業の執行として行う行為
(3) 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(4) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、保全地区における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので規則で定めるもの
(5) 保全地区が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
2 市長は、規則で定めるところにより、その職員に前項に規定する権限の一部を行わせることができる。
3 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(報告及び検査等)
第11条 市長は、保全地区における自然環境の保全のために必要な限度において、第9条第2項の規定による命令を受けた者に対し、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、当該行為に係る土地の区域内の土地若しくは建物内に立ち入り、当該行為の実施状況を検査させ、若しくは当該行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(自然環境ふれあい地区の指定等)
第12条 市長は、良好な自然環境の保全を図るため、身近な自然環境として親しむことができる区域を春日井市自然環境ふれあい地区(以下「ふれあい地区」という。)として指定することができる。
3 ふれあい地区内において、自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為をしようとする者は、当該行為が自然環境に及ぼす影響を最小限にとどめるよう努めなければならない。
(実地調査)
第13条 市長は、保全地区及びふれあい地区の指定若しくはその区域の拡張、保全計画の決定若しくは変更又は保全事業の執行に関し、実地調査の必要があるときは、その職員に、他人の土地に立ち入り、調査させることができる。ただし、法令に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。
3 土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入り又は調査を拒み、又は妨げてはならない。
第3章 生態系への配慮
(生物の多様性の確保に関する施策)
第14条 市は、野生動植物の種の個体の生息又は生育の状況の把握、希少野生動植物の種の保護その他の生物の多様性の確保に関する施策を講ずるものとする。
(指定希少野生動植物種の指定)
第15条 市長は、市内に生息し、又は生育する野生動植物の種(亜種又は変種がある種にあっては、その亜種又は変種とする。以下同じ。)のうち、次の各号のいずれかに該当し、特に保護する必要があると認める種を春日井市指定希少野生動植物種(以下「指定希少野生動植物種」という。)として指定することができる。
(1) 種の存続に支障を及ぼす程度にその種の個体の数が著しく少ないもの
(2) その種の個体の数が著しく減少しつつあるもの
(3) その種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつあるもの
(4) その種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつあるもの
(5) 前各号に掲げるもののほか、その種の存続に支障を及ぼす事情があるもの
2 市長は、指定希少野生動植物種の指定をしようとするときは、あらかじめ、識見を有する者の意見を聴くとともに、当該指定をした場合はその旨を公示しなければならない。
3 指定希少野生動植物種の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
4 市長は、指定希少野生動植物種の個体の生息又は生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるとき又は指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。
(捕獲等の制限)
第16条 指定希少野生動植物種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)第4条第3項に規定する国内希少野生動植物種及び同法第5条第1項に規定する緊急指定種を除く。次条において同じ。)の生きている個体(飼育し、若しくは栽培している個体又は繁殖させた個体を除く。以下同じ。)の捕獲、採取、殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、法令等に基づく場合、又は人の生命若しくは身体の保護のために必要がある場合その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合は、この限りでない。
(譲渡し等の禁止)
第17条 前条の規定に違反して捕獲等をされた指定希少野生動植物種の個体は、譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引取りをしてはならない。
(外来種の放逐等の禁止)
第18条 何人も、国外又は国内を問わず人為により移動された動植物で、市内における地域の在来種を圧迫し、生態系等に被害を及ぼし若しくは及ぼすおそれがある種をみだりに放ち、又は植栽し若しくはその種子をまいてはならない。
第4章 鉱物掘採等の規制
(1) 第7条第2項各号に掲げる区域
(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条の規定により定められた市街化区域
(3) 都市緑地法(昭和48年法律第72号)第12条第1項の規定により定められた特別緑地保全地区
(4) 保安林等の区域
2 前項の規定による届出をした者は、届出をした日から起算して60日を経過した後でなければ、その届出に係る行為に着手してはならない。
3 市長は、当該行為に係る土地及びその周辺の土地の区域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
(助言又は勧告)
第20条 市長は、前条第1項の規定による届出があった場合において、必要があると認めるときは、その届出をした者に対し、届出があった日から起算して60日以内に限り、自然環境の破壊の防止、植生の回復等について必要な助言又は勧告をすることができる。
第5章 市民等との協働
(市民等への支援等)
第23条 市は、市民、事業者及びこれらの者の組織する民間の団体(以下「市民等」という。)との協働による自然環境の保全に関する活動を効果的に推進するため、当該活動をする市民等に対し、自然環境の保全に関する情報の提供その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。
2 市長は、自然環境の保全に関する施策について市民等の意見を尊重し、必要に応じ、当該意見を市の施策に反映させるよう努めるものとする。
(自然環境保全活動推進員)
第24条 市長は、自然環境の保全に関する知識を普及し、及び保全活動を推進するため、春日井市自然環境保全活動推進員を置くことができる。
第6章 教育、学習等
(自然とのふれあいの機会の確保)
第25条 市は、自然環境の保全に関する体験学習その他の自然とのふれあいの機会を提供するよう努めなければならない。
(教育及び学習の推進等)
第26条 市は、市民等があらゆる機会を通じて自然環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における自然環境の保全に関する教育及び学習の推進に必要な施策を講ずるものとする。
(調査研究の実施)
第27条 市は、自然環境の状況の把握、自然環境に及ぼす影響に関する調査研究その他の自然環境の保全に関する施策の策定に必要な調査研究を実施するよう努めなければならない。
第7章 雑則
第8章 罰則
第30条 第21条の規定による命令に違反した者は、200,000円以下の罰金に処する。
第31条 第9条第2項の規定による命令に違反した者は、100,000円以下の罰金に処する。
第32条 次の各号のいずれかに該当する者は、50,000円以下の罰金に処する。
(5) 第13条第3項の規定に違反した者
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
4 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。