○春日井市男女共同参画推進条例
平成15年3月20日
条例第9号
個人の尊重と法の下の平等は日本国憲法にうたわれており、本市においても、その理念にのっとり、国内外の動向を踏まえつつ、女性の地位向上に向けた施策を展開するとともに男女共同参画を推進し、すべての人々が個人として尊重され、性別にとらわれることなくのびやかに暮らせる社会の実現に積極的に取り組んでいる。
しかし、男女の平等をはばむ社会の制度や慣行とそれを支える固定的な性別役割分担意識は依然として存在し、社会のさまざまな活動における男女共同参画を達成するには、多くの課題が残されている。
こうした状況を踏まえ、心豊かに生き生きと暮らせる春日井を築くには、男女が、これまでの役割にとらわれず、一人ひとりの個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野において対等な構成員として参画することができる男女共同参画社会を実現させることが重要である。
21世紀を迎えた今、男女が平等で互いに自立した人間として尊重され、共に責任を分かち合い、安心と生きがいのある地域社会を目指して、私たちは、男女共同参画を一層推進することを決意し、ここに、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において行われなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 社会における制度又は慣行が性別による固定的な役割分担等を反映して男女共同参画の推進を阻害するおそれがあることから、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に、共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動とそれ以外の活動とを両立できるよう配慮されること。
(5) 男女共同参画の推進に向けた取組は、世界的視野の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携を図りながら協力して男女共同参画の推進に努めなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(男女共同参画を阻害する行為の禁止)
第7条 何人も、次に掲げる男女共同参画を阻害する行為を行ってはならない。
(1) 性別による差別的取扱い
(2) セクシュアル・ハラスメント(性的な言動によりその言動を受けた個人の生活環境を害すること又は性的な言動に対する個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。)
(3) ドメスティック・バイオレンス(配偶者等に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)
(公衆に表示する情報への配慮)
第8条 何人も、公衆に広く表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び男女間における暴力を正当化し、及び助長する表現並びに過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
(基本計画の策定)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 市長は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ春日井市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映するための必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進について配慮しなければならない。
(参画機会の拡大及び積極的改善措置)
第11条 市は、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、市民及び事業者と協力し、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は、審議会等の委員を委嘱し、又は任命する場合は、できる限り男女の委員の数の均衡を図るよう努めなければならない。
(市民及び事業者の理解を深めるための措置)
第12条 市は、男女共同参画に関する市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動等を行うとともに、学校教育、社会教育その他の教育のあらゆる分野において、男女共同参画に関する教育及び学習を促進するための必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の活動に対する支援)
第13条 市は、市民及び事業者が実施する男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(調査研究)
第14条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するため必要な調査研究を行うものとする。
(推進体制の整備)
第15条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため必要な推進体制を整備するものとする。
(実施状況の公表)
第16条 市長は、毎年度、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況に関する報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(市が実施する施策に対する申出)
第17条 市民及び事業者は、市長に対し、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策及び男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策についての意見を申し出ることができる。
2 市長は、前項の規定による申出があったときは、春日井市男女共同参画審議会に報告するとともに、適切な処理に努めるものとする。
(男女共同参画を阻害する要因に係る相談)
第18条 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画を阻害する要因によって人権が侵害された場合における市民及び事業者からの相談があったときは、解決に向けて関係機関等と連携を図り、必要な措置を講ずるものとする。
(男女共同参画審議会)
第19条 市長の諮問に応じ、基本計画の策定及び変更その他男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議するため、春日井市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況及び第17条第2項の規定により報告のあった事項について調査審議し、市長に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 優れた識見を有する者
(2) 市民
(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が適当と認める者
5 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないものとする。
6 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
7 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
8 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第20条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。