○春日井市環境基本条例
平成13年9月28日
条例第33号
私たちのまち春日井は、快適で文化的な質の高い生活を営むことができるようまちづくりを進め、名古屋圏を代表する生活都市として着実な歩みを重ねてきた。今日までこのまちを育んできた先人たちの歩みは、私たちにとってかけがえのない資産であり、誇りである。
しかしながら、都市化の進展は、農地や森林などの自然を減少させ、今日の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動は、私たちの暮らしに便利さや物質的な豊かさをもたらす一方で、環境への負荷を増大させ、生物の生存基盤である地球環境にも重大な影響を及ぼしている。
もとより、私たちは、良好な環境の下に健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、恵み豊かな環境を将来の世代に引き継いでいく責務を有している。
私たちは、今日の環境問題の多くが日常生活や事業活動に起因し、環境に与える影響が重大であることを認識した上で、環境への負荷を低減し、持続可能な社会を構築していかなければならない。
このような認識のもと、私たちは、市民、事業者及び市がそれぞれの役割を果たし協働することにより、恵み豊かな環境を保全し、より良い環境を創造する環境都市春日井を実現するため、ここに、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造(以下「環境の保全等」という。)について、基本理念を定め、並びに市民、事業者及び市の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 環境の保全等は、市民が健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、これが将来の世代に継承されるように適切に行わなければならない。
2 環境の保全等は、環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築をめざして、市民、事業者及び市の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。
3 地球環境の保全は、地域における日常生活及び事業活動が地球環境に影響を及ぼすものであることを認識し、すべての日常生活及び事業活動において積極的に推進されなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び発生する廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に伴う環境への負荷の低減その他環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
(市の責務)
第5条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、自ら行う事業の実施に当たっては、積極的に環境への負荷の低減に努めなければならない。
(施策の策定等に係る指針)
第6条 市は、環境の保全等に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌等が良好な状態に保持されること。
(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存等が図られるとともに、森林、農地、水辺等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
(3) 人と自然との豊かなふれあいが確保されるとともに、身近な緑、優れた景観等の保全及び創造、歴史的文化的資源の活用等により、地域の個性を生かした快適な環境を創造すること。
(4) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量を推進することにより、地球温暖化の防止等地球環境保全に貢献すること。
(5) 人と環境との関わりについて理解と認識を深め、自覚を持って責任ある行動をとることができるよう、環境教育、学習等を推進すること。
(6) 市民、事業者及び市の協働によるまちづくりを推進すること。
(環境基本計画)
第7条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全等に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全等に関する総合的かつ長期的な目標
(2) 環境の保全等に関する施策の基本的な方向
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民及び事業者(以下「市民等」という。)の意見を反映するための必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(報告書の作成及び公表)
第8条 市長は、毎年度、環境の状況及び環境基本計画に基づき実施した施策の状況に関する報告書を作成し、これを公表しなければならない。
(規制の措置)
第9条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるよう努めなければならない。
(市民等の参加及び自発的活動の促進)
第10条 市は、環境の保全等に関する施策を推進するに当たっては、市民等の参加が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、市民等が自発的に行う環境の保全等に関する活動が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第11条 市は、環境の保全等を図るための広域的な取組を必要とする施策の実施に当たっては、国及び他の地方公共団体と協力して行うよう努めるものとする。
(環境審議会)
第12条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、春日井市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 環境基本計画に関すること。
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全等に関する重要な事項
3 審議会は、委員10人以内をもって組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 市民
(2) 事業者
(3) 優れた識見を有する者
5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。
附則 抄
(平14条例10・一部改正)
(春日井市生活環境の保全、確保に関する基本条例の廃止)
2 春日井市生活環境の保全、確保に関する基本条例(昭和48年春日井市条例第3号)は、廃止する。
附則(平成14年条例第10号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成14年4月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。