○春日井市都市景観条例
平成6年9月30日
条例第23号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 都市景観の形成
第1節 総合的な施策の推進(第8条―第11条)
第2節 都市景観形成地区(第12条―第17条)
第3節 都市景観形成建築物等(第18条・第19条)
第4節 大規模建築物等の新築等(第20条―第22条)
第3章 都市景観市民団体(第23条・第24条)
第4章 表彰・助成等(第25条・第26条)
第5章 都市景観審議会(第27条―第29条)
第6章 雑則(第30条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、都市景観の形成に関する基本的かつ必要な事項を定めることにより、春日井市を魅力ある個性豊かで美しいまちとすることを目的とする。
(基本理念)
第2条 都市景観の形成は、都市空間がすべての市民にとってかけがえのない共有財産であるとの認識のもとに、調和のとれた個性的で緑豊かな都市景観の形成が、うるおいとやすらぎのある健康で文化的な市民生活の確保に一層寄与するとの理念に基づいて行うものとする。
(1) 都市景観の形成 すぐれた都市景観の創造、育成又は保全をいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3) 工作物 建築基準法第88条第1項に規定する工作物で広告物を掲出する物件以外のもの及び規則で定めるものをいう。
(4) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(市の責務)
第4条 市は、都市景観の形成を図るため、総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民の意見、要望等が十分に反映されるよう努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、自らが都市景観を形成する主体であることを認識し、その個性と創意を発揮することにより、都市景観の形成に努めるとともに、市長その他の市の機関が実施する都市景観の形成に関する施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動の実施に当たっては、専門的知識、経験等を活用し、都市景観の形成に努めるとともに、市長その他の市の機関が実施する都市景観の形成に関する施策に協力するものとする。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第7条 この条例の運用に当たっては、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 都市景観の形成
第1節 総合的な施策の推進
(都市景観基本計画の策定)
第8条 市長は、都市景観の形成を総合的かつ計画的に進めるため、都市景観の形成の基本的な目標を明らかにするとともに、その目標を実現するための指針となる都市景観基本計画を策定するものとする。
2 市長は、前項の都市景観基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、春日井市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、第1項の都市景観基本計画を策定したときは、その旨を告示するものとする。
(先導的役割)
第9条 市長その他の市の機関は、道路、公園その他の公共施設の整備改善を行う場合には、都市景観の形成に先導的な役割を果たすよう努めるものとする。
(国等に対する要請)
第10条 市長は、必要があると認めるときは、国若しくは地方公共団体又はこれらが設立した団体に対し、都市景観の形成について協力を要請するものとする。
(市民意識の高揚)
第11条 市長は、都市景観に関する市民の意識を高め、又は知識の普及を図るため必要な措置を講ずるものとする。
第2節 都市景観形成地区
(都市景観形成地区の指定)
第12条 市長は、都市景観基本計画の定めるところにより、次の各号のいずれかに該当する地区について都市景観の形成を重点的に図る必要があると認めるときは、当該地区を都市景観形成地区として指定することができる。
(1) 主要街路又は河川に沿って良好な都市景観を形づくっている地区
(2) 歴史的な雰囲気を残し、特徴ある都市景観を形づくっている地区
(3) 自然と調和した都市景観を形づくっている地区
(4) 住宅地として良好な都市景観を形づくっている地区
(5) 商業等業務施設が一体となって良好な都市景観を形づくっている地区
(6) その他市長が都市景観の形成のため計画的に整備していく必要があると認める地区
2 市長は、前項の規定により都市景観形成地区を指定しようとするときは、あらかじめ、当該地区の住民その他利害関係者の意見を聴くとともに、春日井市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、第1項の都市景観形成地区を指定したときは、その旨を告示するものとする。
4 前2項の規定は、都市景観形成地区の変更について準用する。
(都市景観形成計画等)
第13条 市長は、前条第1項の規定により都市景観形成地区を指定したときは、当該都市景観形成地区ごとに都市景観の形成に関する計画(以下「都市景観形成計画」という。)及び都市景観の形成のための基準(以下「都市景観形成基準」という。)を定めるものとする。この場合において、市長は、当該計画に関係がある道路、公園その他の公共施設の管理者と協議するものとする。
2 前項の都市景観形成計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 都市景観の形成の基本目標
(2) 道路、公園その他の公共施設に係る都市景観の形成に関する方針
(3) 都市景観形成基準の策定のための指針
(4) その他都市景観の形成に関し必要な事項
3 第1項の都市景観形成基準には、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。
(1) 建築物の規模、敷地内における位置、色彩及び形態
(2) 工作物の規模、位置、色彩及び形態
(3) 広告物及び広告物を掲出する物件の規模、位置、数量、色彩、形態その他表示の方法
(4) 土地の形質
(5) 木竹の態様
(6) その他市長が必要と認める事項
(都市景観形成事業の実施)
第14条 市長は、都市景観形成計画を実現するため、道路、公園その他の公共施設の整備改善その他都市景観の形成に関する事業を実施するものとする。
(行為の届出)
第15条 都市景観形成地区内において次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容を市長に届け出なければならない。
(1) 建築物の新築、増築、改築、移転、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は外壁面の色彩の変更
(2) 工作物の新築、増設、改造、移設、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は外観の色彩の変更
(3) 広告物の表示、移転若しくはその内容の変更又は広告物を掲出する物件の設置、改造、移転、修繕若しくは色彩の変更
(4) 土地の形質の変更
(5) 木竹の伐採又は植栽
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(3) 都市計画事業(都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第15項に規定する都市計画事業をいう。)の施行として行う行為及びこれに準ずる行為で規則で定めるもの
(4) 国、地方公共団体その他規則で定める者が行う行為(前3号に掲げる行為を除く。)
(都市景観形成基準の遵守)
第16条 都市景観形成地区内において前条第1項各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、当該地区に係る都市景観形成基準に適合するよう努めなければならない。
(助言及び指導)
第17条 市長は、第15条第1項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が都市景観形成基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導するものとする。
2 市長は、前項の規定により助言し、又は指導する場合において必要があると認めるときは、春日井市都市景観審議会の意見を聴くことができる。
第3節 都市景観形成建築物等
(都市景観形成建築物等の指定)
第18条 市長は、次の各号のいずれかに該当する建築物、工作物、樹木、樹林その他のもので都市景観の形成上重要な価値があると認められるものを都市景観形成建築物等として指定することができる。
(1) 周辺地域の景観及び雰囲気を特徴付けているもの
(2) 歴史的価値又は建築的価値を有するもの
(3) 市民に愛され親しまれているもの
2 市長は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ、春日井市都市景観審議会の意見を聴くとともに、その所有者(権原に基づく占有者又は管理者がある場合は、それらの者を含む。以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。
3 市長は、第1項の指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該都市景観形成建築物等に表示するものとする。
(1) 滅失等により都市景観の形成上の価値を失ったとき。
(2) 公益上の理由その他特別の理由があるとき。
5 市長は、前項の規定により指定を解除したときは、その旨を告示するものとする。
(都市景観形成建築物等の管理等)
第19条 前条第1項の規定による指定を受けた都市景観形成建築物等の所有者等は、市長が定めるところにより、当該都市景観形成建築物等を管理するものとする。
2 前項に規定する者は、当該都市景観形成建築物等の現状を変更し、又は所有権その他の権利を移転しようとするときは、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
3 市長は、前項の規定による届出があった場合において、その届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。この場合において必要があると認めるときは、春日井市都市景観審議会の意見を聴くことができる。
第4節 大規模建築物等の新築等
(大規模建築物等の新築等の届出)
第20条 都市景観形成地区の区域外において、都市景観の形成に大きな影響を及ぼす次に掲げる建築物、工作物並びに広告物及び広告物を掲出する物件(以下「大規模建築物等」という。)の新築若しくは新設、増築若しくは増設、大規模な模様替え又は外観の過半にわたる色彩の変更をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容を市長に届け出なければならない。
(1) 高さが15メートルを超え、又は延べ面積が1,500平方メートルを超える建築物
(2) 地上からの高さが15メートル(建築物に定着し、又は継続して設置される場合にあっては、その高さが10メートルを超え、かつ、当該建築物の高さとの合計が15メートル)を超え、又はその敷地の用に供する土地の面積が1,000平方メートルを超える工作物
(3) 高さが10メートルを超え、又は表示面積の合計が50平方メートルを超える広告物及び広告物を掲出する物件
(4) その他前各号に準ずるもので規則で定めるもの
(大規模建築物等誘導基準)
第21条 市長は、大規模建築物等について、都市景観の形成のための誘導基準(以下「大規模建築物等誘導基準」という。)を定めるものとする。
(助言及び指導)
第22条 市長は、第20条第1項に規定する届出があった場合において、その届出に係る行為が大規模建築物等誘導基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導するものとする。
第3章 都市景観市民団体
(都市景観市民団体の認定)
第23条 市長は、一定の地域における都市景観の形成を推進することを目的として組織された団体で、次に該当するものを春日井市都市景観審議会の意見を聴いて、都市景観市民団体として認定することができる。
(1) 団体の活動が地域における都市景観の形成に有効と認められるもの
(2) 団体の活動が地域の多数の住民に支持されていると認められるもの
(3) 団体の活動が関係者の所有権その他の財産権を不当に制限しないもの
(4) 規則で定める要件を具備する団体規約が定められているもの
2 前項の規定による認定を受けようとする団体は、その代表者が、規則で定めるところにより、市長に対しその認定の申請をしなければならない。
第4章 表彰・助成等
(表彰)
第25条 市長は、都市景観の形成に寄与していると認められる建築物、工作物、広告物その他の物件について、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。
2 市長は、都市景観の形成に関する運動を推進し、その他都市景観の形成に貢献している者を表彰することができる。
(助成等)
第26条 市長は、第15条第1項の規定による届出をした者、都市景観形成建築物等の所有者等、都市景観市民団体その他都市景観の形成に寄与すると認められる行為をしようとする者に対し、予算の範囲内において経費の一部を助成し、又は必要な技術的援助を行うことができる。
第5章 都市景観審議会
(設置)
第27条 市長の諮問に応じ、都市景観の形成に関し必要な事項を調査又は審議するため、春日井市都市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(委員)
第28条 審議会は、委員15人以内をもって組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱又は任命する。
(1) 学識経験者
(2) 市議会の議員
(3) 市職員
2 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
3 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員は、議題に係る都市景観形成地区に関係がある市民のうちから、市長が審議事項を明示して委嘱する。
3 臨時委員は、前項の規定により示された審議事項について審議する会議に限り出席することができ、当該審議事項の審議が終了したときは、解任されるものとする。
第6章 雑則
(委任)
第30条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則 抄
(平成7年規則第27号により附則第1項ただし書に規定する規定(第21条の規定を除く。)の施行期日は、平成8年4月1日とし、同附則第1項ただし書に規定する規定(第21条の規定に限る。)は、公布の日から施行)